将来の病気に備える細胞バンクは
細胞バンクとは、自分自身の細胞を採取して保存しておき、将来何かの病気にかかった際にそれを利用して治療ができることに期待するものです。
基本的には、細胞そのものを治療に利用しようとするのではなくて、それを必要に応じて増殖させ、可能であれば組織とか臓器にまで再生させて医療に応用することを考えていますが、そこまで究極的なものはなかなか難しいかもしれません。
この目的のためには、採取する細胞は何でも良いわけではありません。
例えば皮膚の細胞を採取したところで、それはもう原則的には皮膚にしかなれないからです。
一応、遺伝子レベルの話では、体内のどんな細胞であってもフルセットの遺伝子を持っていますが、実際に様々な臓器とか組織になれるわけではありません。
それが可能なのは一部の特殊な細胞に限られており、それを幹細胞と呼んでいます。
これは複数の臓器とか組織に分化する能力を持っていますので、将来的にどこにどのような病気が発生するか分からなくても、それに備えることができます。
いわば一種の健康保険のようなものと考えれば良いでしょう。
もちろん、将来的に医療がどのように進歩するかは分かりませんから、自分が病気になったときに確実に再生医療の恩恵を受けられると決まっているわけではありません。
ですが、逆に言うと今の医療レベルでは治療困難な病気であっても、幹細胞さえあれば将来的には完治が期待できるような病気もあるかもしれないわけです。